短期集中連載
マウンテンバイク競技の発展
同好の士がかってに集まり、ヨーイドンで大雑把にやっていた草レースが組織だって行われるようになるのは80年代初頭、NORBA(National Off-road Bicycle Association)が設立されて黄金時代を迎える。
それはロードレーサーのほんの遊び心から生まれた
長い自転車競技の歴史の中で最も新しい種目とされる一つがマウンテンバイクだ。
シクロ、サイクルといった馴染みのある自転車のカタカナに比べ、バイクとなると日本ではオートバイを連想してしまうが、レッキとした英語でアメリカでネーミングされた“山を駆ける自転車”である。
1970年代の終わり、若く冒険心に富んだロードマンの一団が、いつもの練習コースである舗装路から外れ、山につながる未舗装道路に踏み入れたところから歴史は始まった。彼らはアメリカはカリフォルニア・サンフランシスコ郊外を本拠地とするロードレーサー。地元ではかなり好成績を残すこともあるが、人一倍好奇心と冒険心のあふれた点が他のメンバーとは違っていた。金門橋と日本では翻訳されたゴールデンゲート・ブリッジを渡ったサンフランシスコの高級ベッドタウンとして知られる一帯の奥には小高い山があり、そこには山火事対策用にファイアーロードと呼ばれる未舗装の道路があちこちに走っていた。
「あんなガタガタ道を登り降りしたら面白いな」